やってはいけない節税対策
できれば払いたくない税金。
できれば少なくしたい税金。
そのためには節税を行うことが必要です。
フリーランスの方や、社長さんも常に意識しているところではないでしょうか。
ですが、節税のために経費を使いすぎて、結果的に無駄になってしまうものも多くあります。
私自身は、少しでも税金を減らす努力をするよりも、少しでも多く手元にお金を残す努力をすることをおすすめしております。
「その節税は無意味じゃない?」というものをピックアップしていきたいと思います。
やってはいけない節税対策
高級車の購入
経費を増やすため、自動車を購入することはよくあります。
「減価償却費」として計上できるもので、車両本体価格を、
- 新車・普通車なら6年
- 新車・軽自動車なら4年
- 中古車なら最短で2年
で経費に計上できます。
金額が大きいため、節税対策として大きな効果が得られます。
手持ちの自動車が古くなったことによる買い替えや、フリーランスの方にはおすすめの節税方法ですが、従業員を雇っている社長さんにはあまりおすすめできません。
その理由は、例えば社長が、
「税金減らすためにベンツ買うぞ!高い車を買えば経費も増えるからな!わっはっは!」
といって、会社の駐車場にデデーン!と大きいベンツが置いてあるとしたら、社員さんのモチベーションは果たして上がるでしょうか。
「俺たちががんばって上げてきた売上は、あのベンツに使われてしまったんだ・・・。」
とか、
「私のボーナスはこんなに少ないのに、高級車を買う余裕はあるんだ・・・。」
と思うのではないでしょうか。
確かに税金は減ります。
が、従業員さんのモチベーションは確実に下がってしまうため、売上・利益の減少につながり、結果的に手元のお金が減ることになってしまいます。
社長さんと従業員さんの間で信頼関係ができていたとしても、この1件で信頼を失ってしまう可能性は大いにあります。
無駄に高級車を買うのは控えましょう!
高額な役員報酬
役員報酬があまりにも高すぎると、上記の「高級車の購入」のように、従業員さんのモチベーションが下がります。
役員報酬を上げたことを内緒にしているつもりでも、従業員さんには何らかの形で漏れ、噂が広まってしまうものです。
従業員さんは社長さんのことをよーく見ているものです(私も信金時代はよーく見ていました)。
加えて、役員報酬に対しては所得税・住民税・社会保険料がかかり、現在、個人への課税が年々増えています。(例:1,000万円以上の所得者に対する配偶者控除の見直し、高所得者に対する給与所得控除の見直しなど)
それに対して、日本の法人税は国際的にみて高いため、引き下げの傾向にあります。
所得税は超過累進税率(所得が増えるほど税率が高くなる)なので、役員報酬を増やせば増やすほど、手取り額の増加率は悪くなります。
- 役員報酬 月50万円・・・ 手取り約40万円
- 〃 月100万円・・・手取り約78万円
- 〃 月150万円・・・手取り約110万円
※上記のほか、住民税がかかります。
※上記は個人分の社会保険料のみ控除していますので、さらに会社負担分もかかります。
お金を貯めるためには、役員報酬を増やさず会社に貯めておき、法人税を払ったほうがいいのです。
生命保険の加入
こちらも節税対策として有名な方法です。
保険料は経費になるため、短期的に見れば節税になります。
ですが将来、保険が満期になり、満期保険金や解約返戻金が入金されれば、それに対して法人税がかかってきます。
社長さんの中で、「解約返戻率は90%だけど、実質返戻率(毎年保険料を支払うことによって減少した法人税を加味したもの)は100%を大幅に越えるからお得ですよ」という勧誘を受けたことがある方も多いのではないでしょうか。
これにはトラップがあり、満期保険金や解約返戻金に課される法人税は計算上、考慮していません。
赤字の時に解約することを前提としています。
そのため、黒字の時に解約してしまうと、毎年保険料も支払った上に満期保険金や解約返戻金に税金がかかってきてしまうため、トータルとして手元のお金が大幅に減少してしまう可能性があります。
その間、保険という役務提供を受けているため、損か得かは一概に言えませんが、節税目的で加入すると、意外な落とし穴があります。
保険の加入により、結果、手元のお金が減ってしまうことはよくあります。
保険の加入は最低限にしておくことをおすすめします。
まとめ
手元のお金は多いに越したことはないと考えます。
個人的には、借入れしてでも持っておいたほうがいいと思います。
私の事務所の顧問先で業績が順調なお客様は、特に節税対策することなく、税金を納付いただいたいます。
そのお客様方は共通して、「とにかく売上げを増やすことを第一」としています。
私の事務所のボスは「数万円の税金を減らす労力と、数百万円の売上を増やす労力は一緒」と言っていました。
私も独立を控えている身であり、これらの考え方は勉強になります。